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本の音

夜中に思い立って ちょっとのつもりで片付けを始めたら 
止まらなくなってしまった。
今頃 大掃除。
数年ぶりに 棚の整理をしていたら
奥から平中悠一さんの本が 数冊でてきた。
懐かしいなぁ。
彼がデビューした時、私は 彼の作品に夢中だった。

大学に入った時、その本のことで意気投合したのが あこだった。
大人っぽくて背が高くて バブルの女子大生の雰囲気を思いっきり
ひきついでいた彼女と、トリコロールのショルダーバックの私は
どうみてもちぐはぐだったけれど なんだかとてもウマが合った。
どうして 平中悠一の話になったのかな?
ちっとも覚えていないけれど この本がなかったら
もしかしたら 彼女とは 深く話せることがなかったのかもしれない。
彼女が結婚して 東京を離れてずいぶん経つ。
お互いマメでないため、ほんとに思いついた時にしか連絡しない。
それでも お互いココロに波風がたたないところも なんだかいい。
そういえば、ずいぶん話していないなぁ。
元気かな?
明日、久しぶりに 電話、してみよう。
声、聞きたくなっちゃったな。


小学校、中学校に入りたての頃の私は 図書委員に憧れていた。
本を貸し出しする時、一番うしろのポケットから
カードをだしたり、はんこを押して、カードを差し替えたり・・・という
作業に憧れていたのと、
何より、その作業の時、本を閉じるときの
ばふっ、という音が なんとも言えずに好きだったのだ。
新しい本ではしないあの音。何度も聞きたいあの音。
いろんなヒトの手を経て、たくさんめくられて
空気を含まないと でない音。

図書室も好きだった。
かといって 本を読むのではないのだけれど。雰囲気が。
本が しん、と並んでいて
空気を浄化しているような感じと 音を吸い取っているような感じが。

なので、土曜日の午後は 裏庭で一人で菓子パンをかじり
図書室に一人行き、閉門までぼ〜〜〜〜〜〜〜っとしてる、
ということが よくあった。
今、考えると、ちょっと 不思議だ。不思議なヒトだ。
図書室の先生は なんだかさらりとしたヒトで
それもよかった。
窓からは 学校の築山の深い緑が見え、テニス部の部活の
声がうっすら聞こえる。
でも 図書室の中はしんと静かで、あの 本の音がして。
のどかだったなぁ。
私にとっては 1週間の終わりの贅沢空間だった。

今思えば、あの時 どうして私は図書委員にならなかったのだろう??
あのまま、図書室好きでいたら 
もうちょっと思慮深い人間になっていたかも・・・とも思う。
中2になった頃には 図書室より 自由が丘の方が好きになっていた。
う〜〜ん。
高校を卒業するまで、毎日のように遊んでいた自由が丘でも
確かに いろんな事を学んだけどさ。

と、ため息をついて。
さてさて、残りを片付けよう。