朝の仕事
家が寒い。
とても寒い。
朝、起きると部屋の温度がだいたい7度か8度。
それをヒトに言ったら
っていうか、それって、外で寝てるよーなものじゃない!?
と 言われ、あ、そうかも、と思った。
こんな寒さが続くと、もしかしたら、
寝ちゃいけない!寝てはだめだ!ということになるかもしれない。
(いえ、なりません。遭難じゃないので)
そんな私の楽しみは 焼き芋の朝ごはん。
近くの八百屋さんが冬の間だけ 石焼き芋を作っています。
フランス人が朝、バゲットを買いに行くように
私は 時々、焼き芋を買いに行きます。
八百屋さんはいつも、一番大きいやつを渡してくれるんだっ。うきっ。
そのほかほかをダウンの胸のあたりにいれて
ほくほく、と帰ってきて食べます。ミルクティーと一緒に。
これが、ささやかな、でも最大のしあわせ。
バターにゲランドの塩をちりっとかけて食べるのです。
パリにいた頃、バゲットを小脇に抱えてさっそうと歩く、というのが
私の憧れでした。
でも、挟み方が悪いのか、
もこもこに着込んでいるせいで感覚が悪いのか、
部屋に帰って来ると バゲットの半分から下がちぎれてなくなっている、
という事が暮らし始めた冬に何度もありました。
はじめは狐につままれた気分で、誰かのいたずら?とか、すりっ!?とか
犬!?とか思ったほどです。
友達のうちに みんなで集まる時にも、私がバゲット係になったのですが
バゲットをかかえ、お花を買ったり、ワインを見たりしながら
友人の家に着いた時には やっぱり、
半分から下がちぎれてなくなっていました。
そんなにお腹すいてたの!?と言われて どう説明しても
ちぎれる訳なんてない!ぜったい麻紀が食べたんだ〜、と言われて
すごく恥ずかしかったのです。
でもその日の帰り道、その夜は雨が降っていたのですが、
友人のアパルトマンの角を曲がった 電話ボックスのところに
私のちぎれたバゲットが落ちていたのです!
雨にひたひたに濡れて。
パリのやわらかなオレンジ色の街灯の明かりに照らされ
雨にぬれそぼるちぎれたバゲットは とてもシュールな光景でした。
それ以来、バゲットは抱えず、
下を持って、イギリスの衛兵さんのように持つようにしています。

