スペインのヌガー
ずいぶん前のことになってしまいますが・・・。
スペインのお土産でいただいたヌガー。
とてもおいしかったのです。
ヌガーのようなものは、日本では、今のところあまり定着していないモノかも。
私のヌガーとのはじめての出会いはフランスで。
パリで食べた時は正直、ふぅ〜〜〜ん、と思っただけでしたが
本場モンテリマールで食べた時は
何これ、おいしい!と思ったものです。
そりゃ、名産品になるわね、みんな好きなのもわかる、と。
そういえば、
道のあちこちで、小さな日よけをつけた屋台で売られている様は
とてもかわいかったのですが、
(ピンクやミント色、黄色いもヌガーもたくさん見かけます。
それが並んでいる様は、南仏の明るい雰囲気にも合っていて
それだけでもかわいいのです。)
その時はなぜだかとても不思議な気もしました。
屋台でも売るモノなんだ・・・と思って。
まぁ、日本の屋台で焼きそばとか、お好み焼きを売っているのを
ヨーロッパのヒトが、へぇぇぇぇ!という感じで見る感覚でしょうか。
それ以来、なんとなく、ヌガーは本場で食べないと
おいしいものには出会えない気がしていたのですが、
いただいたこのヌガーはかなりおいしかったのです。
なんだろう?フランスのおいしさと違う、おいしい何か。
テクニック的にはきっと、モンテリマールのものと違って
卵白を入れないのでは?と思うのですが、
何より、スペインの太陽がすばらしいアーモンドを作るのだろうなぁ。
まずそれがいちばん大きくて、あと、土地で伝わった伝統的な作り方に
なが〜〜〜い間の蓄積、というか、
そういうモノがみちっ、みちっ、と詰まってきたのだと
思わずにいられません。
たまに、
まぁ、おいしい洋菓子なんかも、ほとんど食べたなぁ、
と思ったりしてしまうことがあるのですが、
本当に反省します。
こういう昔から脈々と人々の間に
伝わっているモノには、もう、本当に敵わないのですねぇ。
ところで。
タイミングよく遊びに来た甥っ子弟に出してあげました。
彼は、見慣れない初めての食べ物には警戒心が強いので、
はじめは、おそるおそる、という感じで角っこをかじりました。
でも、すぐに、これ、なぁに!?すんごくおいしい!!と言って
あっという間にぱくぱくっと残りの3かけを食べたので
やっぱり、おいしいものって子供でもわかるんだなぁ、と感心しました。
おそるべし、おいしいもの。
すかさず、
スペインで作られているお菓子だというコト、
フランス語ではヌガーというコト、
アーモンドをすりつぶして作るのだというコトを
教えてあげました。
目を大きく開けてきらきらさせながら、うんうん、と聞く甥っ子弟。
これが、彼の中で、ヌガーの基準として
記憶として残っていくことを思うと
これまた感慨深いです。
だって、子供の頃に初めて食べた
衝撃的なおいしいものって、
大人になっても
それを超えるものに出会えることは、
なぜだか、あんまりないから。
彼にはまだ、わからないだろうけれど、
何年か何十年か経ったとき、ふと、
そうだ、そういえば、あの時のあれ・・・
と、思いだす時がくるのだよ。
もしかしたら、それは、大人になってスペインに旅行に行った時
アンダルシアの真っ青な空を見上げた時かもしれないし、
はたまた、将来、無類のお菓子好きになっていて、
“もう一度食べたい”と、これを求めて旅をするかも知れない。
その時に彼がもう一度、このヌガーに出会えるかはわからないけれど・・・
でも、きっと、スペインのどこかで、
このヌガーは変わらずに淡々と作られ続けているのだろう、と
私は思うのです。信じているのです。
そんなコトを思うと、私のココロの中の小さな灯火は一瞬、
ゆらっ、と炎を大きく揺らします。
自分の目指すものが、もわりとしていた分厚い霧の合間に
一瞬でもはっきり見えたかのように思うのです。
Mさん、すてきなすてきなお土産をありがとうございました。

